青森県
青森県には、本州最北の地という地理的特徴もあって、江戸時代に築かれた近世城郭や、戦国時代の中世の館(たて)が多く残っています。以下に代表的な城を詳しく紹介します!
■ 青森県の代表的な城
【1】弘前城(弘前市)
→ 現存天守あり!東北唯一の天守が残る名城
築城年:1611年(慶長16年) 築城者:津軽為信(つがるためのぶ) 形式:平山城 別名:鷹岡城(たかおかじょう)
● 特徴
津軽氏の居城。青森県で最も有名な城。 天守・櫓・門・堀・石垣などが残る本格的な近世城郭。 天守は1810年に再建されたもので、現存12天守のひとつ。 弘前さくらまつりでは、日本屈指の桜の名所として全国から観光客が集まる。
● 現在
弘前公園として整備され、天守・櫓3基・城門5棟が重要文化財。 石垣修理のために天守が移動中(2025年ごろに戻る予定)。 園内には津軽氏の資料館などもある。
【2】根城(八戸市)
→ 南部氏発祥の城。中世城館として貴重な遺構が残る。
築城年:1334年(南北朝時代初期) 築城者:南部師行(なんぶもろゆき) 形式:中世の平城(曲輪構造)
● 特徴
南部氏の祖が築いた本拠地。 南北朝・戦国時代を通して繁栄した中世の城館。 江戸時代初期に盛岡藩の支城としての役目を終える。
● 現在
主殿・馬屋・工房などが復元されていて、当時の生活を体感できる。 国指定史跡で、「根城の広場」として公開中。 土塁・堀・曲輪配置がわかりやすく整備されており、教育・観光資源として人気。
【3】三戸城(三戸町)
→ 南部氏の拠点。南部藩のルーツ。
築城年:15世紀後半 築城者:南部政康 形式:丘城(標高約90m)
● 特徴
南部氏が三戸から盛岡へ拠点を移すまでの本拠地。 豊臣秀吉の奥州仕置でも重要拠点に。 関ヶ原後、盛岡に本拠を移したが、その後も城は維持された。
● 現在
三戸城跡は公園として整備され、模擬天守の三戸城温故館が建つ。 城山公園として桜の名所でもある。
■ その他の青森県の城・館跡一覧(マニア向けもあり)
【津軽氏系(西北部〜中央部)】
● 浪岡城(青森市)
津軽氏の分家・浪岡御所(浪岡北畠氏)の拠点。 南北朝時代の公家風の城館。 曲輪や堀跡が良好に残る。国指定史跡。
● 油川城(青森市)
津軽氏の拠点のひとつ。 津軽為信が本格的に勢力を広げる前に使ったとされる。 遺構は少ないが、町名や地形に名残がある。
● 大浦城(弘前市・旧大浦町)
津軽為信の父・光信が拠った居館跡。 津軽家の始まりの地とされ、のちの弘前城築城の流れにもつながる。
● 板柳館(板柳町)
津軽氏家臣の館。中世の遺構が点在。 土塁・堀の痕跡がわかるよう整備中。
【南部氏系(東部・南部)】
● 七戸城(七戸町)
南部氏の支城。馬産地としても知られた地域の守り。 本丸跡や土塁・空堀の遺構が一部残る。
● 野辺地城(野辺地町)
南部氏の海防のための拠点。 17世紀、幕府からの命で海防の要衝として整備された。
● 尾崎城(東北町)
南部一族の拠点で、現在は尾崎神社が鎮座。 土塁・堀の遺構があり、丘上の立地が特徴。
● 三本木城(十和田市)
三戸南部氏の支配地にあったとされる城。 明確な遺構は少ないが、地名や口伝に名残がある。
【その他の注目スポット】
● 舘野館(つがる市)
津軽家発祥伝承地。津軽光信が居したと伝わる。 周囲に堀が巡る中世館の遺構が残っている。
● 種里城(鰺ヶ沢町)
津軽家の始祖・光信が本拠とした城。遺構あり。 「種里城跡公園」として整備され、地元民には親しまれている。
● 奥内館(青森市)
大浦氏ゆかりの地で、津軽地方の勢力争いに関わる。 遺構は少ないが、戦国期の記録にはよく登場する。